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2010年12月30日

◆ 目指せ歩道最速!!マラソンランナー達の狂走



なにが楽しくて、42.195kmという車でしか移動できないような距離を走らなきゃならないのか?まともな人ならきっとそう考えるだろう、大丈夫!走っている本人もつくづくそう思う。
今年12月23日も、そんな常人とはちょっと違うマゾ属性に目覚めてしまった5000人ものランナーが、兵庫県の加古川河川敷に集結した。この「第22回加古川マラソン大会」は沖縄から北海道まで全国のランナーが集う、わりと大きな大会だ。第2回のときから参加しているので、21年ものつきあいになる。
選択種目にフルマラソンが追加されたのは第15回から…以来この8年間ずっと挑戦し続けていたものの1度も走ってゴールすることはできていない。途中から歩いてしまったゴールタイムは5時間を超える。
僕の場合過去7年間は27kmが限界で、蓄積した疲労のためにヒザやふくらはぎに強烈な痛みがきて全く走れなくなる。残り15km、みぞれの降る厳寒の河川敷コースをシャツ1枚で、動かなくなった足と敗北感をひきずってゴールするのである。
これがぜんぜん練習してないのなら仕方がない。しかし、大学を卒業してからもずっと2,3日に1度は8kmほどのジョギングを欠かしていない僕に、この結果はなんとも納得できなかった。
とはいえ7度も失敗しているのである。ここ2、3年は内心あきらめの色が強く、惰性で大会に参加していたことは否めない。
転機は今年の1月、まだ前回のマラソン失敗のダメージが残っているとき、たまたま見ていた新聞の広告欄に強烈に目を引く一文があった。
「マラソンは毎日走っても完走できない」
っっっオレのことかよ!!!…ふざけた一文だが、なんとこれは本の題名である。
しかしもっとビックリしたのは、この本の著者があのシドニー五輪女子フルマラソン金メダルのQちゃんを育てた小出監督だったことだ。
僕がこの本に飛びついたのは言うまでもない。近所の本屋6件をまわっても在庫がなく、勤務先の姫路駅の本屋で注文して、やっとのことで手に入れた。



内容は営業妨害になるので詳しくは言えないが、要は負荷をかけることが大事で、これまでの僕のような同じ内容の練習を続けてもダメだってことだった。
この本を読んで考えたメニューがこれ、
1.弱日・4kmジョギング(ペース25分程度)
2.強日・1300m×3本のインターバル走(ペース5分15秒平均、間を200mジョグでつなぐ)
3.長日・90分~120分走り続ける(ペース1kmあたり6分程度)
4.休日
連続で同じことはやらず、組み替えて行う
これまではキツイ練習を連日でやったり、翌日に休日を入れたりしてたのが失敗だった。キツイ練習をやった次の日は休みにせず、必ず軽いジョギングの日を入れてから休むようにする。おかげで疲労による怪我の頻度が今年は格段に下がった。
走り方も変えた。元が短距離ランナーだっただけにつま先に重心をかけて走る癖が抜けきらなかったが、本に注意されて完全にカカトから乗せるように心がけた。これまで使っていた靴の底を見れば、前の方ばかり磨り減っていたが、今は平均して摺れている。
この1年、正直キツかった。深夜12時に帰宅して朝の2時まで練習、4時間だけ寝てから仕事とか、過度の疲労で血尿を出すこともたびたびあった。
それでも練習を続ける気になったのは小出監督のネームバリューだけではない。明らかに練習の成果が見え初めていたからであった。本番はともかくこれまで練習で、20km走れることはそうそうなかったのが、今年は30kmまで成功している。
今年の俺は間違いなく過去最高の走力を持っている!それは確信していた。しかし、それでも42.195kmを走破できるかどうかはわからなかった。
その答えが今月23日に出た。



大会前日に仕事は休みが取れたし、当日は過去20年間でおそらくもっとも暖かい陽気で、かつてこれほどのベストコンディションだったことは無かった。
…それだけに今回もダメだったらどうしようという不安も大きかった。この1年、積み上げてきた練習とこれだけの好条件で失敗したら、精神的なダメージは半ばあきらめて走っていた昨年とは比べ物にならない。
スタートは例年通りのゆっくりの出だし、最初の1kmは6分で通過した。数百人が僕の前を走っていったが、その中の数パーセントは2~3kmで、半数くらいは20kmまでに落ちてくる。みんなフルマラソンが長い距離であることは十分承知していてペースを落としているのだが、それでも我慢できないぐらい遅いペースなのでつい飛ばして失敗する。自分のペースを見失うと、じわじわと襲い掛かってくる怖い種目なのだこれは。
痛みを感じ出したらまわるのは早い。とにかく昨年より悪い結果だけは出したくなかったので、27kmを通過するまでは絶対に無理はせず、脚を置いたときに生じるダメージを最小限に抑える安定した走りにだけ集中した。
不安要素が一つだけあった。
この1年の練習で気づいたのは、長距離を走るときは前日にインターバル走などの刺激の強い練習を入れていたほうが、走行時のダメージを減らせるようであることだった。休日明けに長距離をやると失敗することが何度かあったのだ。だから今回もさすがに前日は避けたものの、2日前にインターバル走を行ってこの試合に臨んだ。
しかし、インターバル走自体が脚に強大な負荷をかける為、その疲労が残っていたら結局脚は壊れてしまう諸刃の剣なのだ。この練習が凶と出るか、吉と出るかが問題だった。
この1年のキツイ練習が無駄だったと思いたくない不安で精神的に苦しみ、相当長く感じられた27kmだったが、なんとか乗り越えることができた。しかし息をつく間もなく、精神が少し開放されると今度は疲労感が大きくなってきた。2日前のインターバル走のせいでこの疲労が出て来たのか、それともそのおかげでここまで抑えてこられたのかは分からないが、とにかくこれで走り方を変える必要が出てきた。
ここまでくるとダメージを抑えるための「守り」の走りか、危険性は上がるが、ペースを上げて脚が壊れる前にゴールをしてしまうという「攻め」の走りの選択を問われる。僕は守りきることはできないと判断して、残り12kmで「攻め」に切り替えた。
呼吸も荒れるがかまってはいられない、ペースダウンしている人たちをどんどん追い抜く。抜かれた人たちは僕を気分的に爽快なのだろうと思ったかもしれないが、実情は何時この脚が壊れるか不安で仕方が無いのだ。



残り8kmにもなれば疲労はいよいよ無視できないレベルになっていて、つい地面を見がちの脚をかばう様な走りになっていた。給水所では水分補給より先に脚に飲料水をぶっかけ、気化熱でクールダウンを図る。
ふと、脚に集中しすぎて前を見ず、逆に追い込まれていたことに気づいた僕は、ある程度先で且つ実現可能な目標を設定して痛みを忘れようと、ゴール前3kmにある水道橋のことを考えることにした。フルマラソンを走るなんて考えもしなかった小・中学生の頃、折り返し地点の目安として強く印象に残っていた思い出のある橋なのだ。
この試合当日は気温も高く、快晴で文句は無いのだが、どうにもならないのが風である。
42kmもの距離をほぼ1往復でまかなうこの河川敷直線コースには、風を防ぐ障害物がない。折り返して走るわけだから追い風、向かい風双方の影響を受けて競技記録的にはイーブンなのだが、疲弊しきった最終直線が向かい風というのはやはり辛い。
目的にしていた水道橋を越えたものの、向かい風への対抗で体力的に限界が近づいていた僕についに終わりが来た。
41kmを通過した地点で、たまりにたまった疲労のために脚が完全につってしまったのである。(つる=こむらがえりをおこす)やられたのは瞬発力を発揮するふくらはぎ(腓腹筋)ではなく、姿勢制御に使ってた大腿内側の内転筋のようだ。「蹴る」走り方から「摺る」走り方になっていた証拠だろう、昨年までとは破損箇所が違う。
今年もついに走りきることはできなかったか…と内心ショックは大きかったが、ゴールまであと1km、泣き言を言っている場合じゃない。
ここからは例年通り動かない脚をひきずり、激痛に耐えながら歯を食いしばって歩く。ときどき我慢し切れなくて所々で止まりながら。この状態になったときの悲惨さは筆舌に尽くしがたく、棄権の文字が頭にちらつくのだ。あと1kmが長い、異常に長い、長すぎる。通常時なら5分とかからないこの距離に、結果的に18分を費やした。
最後の100m、沿道の声援が聞こえる。~ああ、今年こそはラストスパートでかっこよく走る俺の雄姿を見せつけたかったのに~そこにいたのは例年通り、脚をひきずって歩いてゴールするかっこ悪いオッサンだった。
もう立っている必要はない、ゴール後はわき道にそれて倒れこんだ。
すぐに係員の人が心配して走りよってきたが、~大丈夫!この男は脚が壊れただけで、そのほかはビンビンだぜ!っと親指をたてて返した。係員がレース後の選手の体調に過敏になっているのも無理はない。数日前にマラソンに参加したまだ20代の若い男性が、心臓発作で亡くなられたことが報道されたばかりなのだ。
記録3時間48分10秒、30~39歳男子の部628名中175位の男は、そのまま大の字になってしばらくそこで寝ていた。
おかざと




  


Posted by 有限会社市場印刷 at 15:17おかざと